少し前ですが、欧米と日本の『子供の育て方』の違いについてお話しました。
実はあの時に、書き残したことがあって、それが・・・
『モラル』の違い。
いや、これもね。どちらが良いというハナシではないのです。別に。
ただ、子供に『善』と『悪』を教えるにあたって、我々と欧米では違うのですヨ。
例えば、日本で一般的に『悪い事』とされているコトって何だと思います?
皆さんの思っているコト、当ててあげましょうか? たぶん当たると思いますヨ。
・・・それは『他の人の迷惑になるコト』ですよね。
当たってました?
これは日本人が小さい頃から、何度も何度も教えられるコトなのです。
「人に迷惑をかけるな!」「迷惑になるからヤメなさい!」ってね。
迷惑が悪の根源?
人に迷惑をかけることが、悪いコトだろ?
その通り、多くの日本人にとってそれは当たり前の事で、『迷惑をかける』かどうかが、『悪いコト』かどうかなのです。
『日本人の善悪の基準』は、『他人の気持ち』なのです。
もちろん、この感覚があるからこそ、日本人は世界から賞賛されるほど、民意の高い民族として尊敬を集めています。
犯罪率の低さや、治安の良さは、この感覚のおかげかもしれません。
しかし、よく考えてください。
ソレって本当に、そこまで『悪』でしょうか?
だいたい、ホントに「迷惑」が「悪の根源」だったら、宗教の勧誘なんて死刑ですよ。迷惑極まりない。
同じ理由で、セールスマンも、街角アンケートも、ピザのチラシも、全部『悪』です。
ストリートミュージシャンだって、逮捕の対象になりますよ。
でも、そうでは無いデスよね。
人間というのは、他の人に多少なりとも『迷惑』をかけないと生きて行けないものなのです。
外国には『過労死』が無い
しかし、我々日本人は「迷惑」をかけないように、他人の気持ちを恐れ、そのあまりに自分を追い込む傾向があるようです。
残業をしたり、休日出勤なんかもそうです。
長い休暇を取れないというもの、そうかもしれません。
特にマジメな人ほど、その傾向はあります。「迷惑」=「悪」なのですから、当たり前ですね。
その結果から、マジメな人たちは『過労死』という最悪の選択をしてしまうのです。
実はその『過労死』にあたる英語の言葉は存在しません。
なので、英語でも「KAROUSHI」とローマ字で書かれる場合が多く、そのままで通じたりします。
そうです。外国には『過労死』が無いのです。
少子化も同じ?
また、最近の日本人は、「迷惑」を恐れるあまり、子供を作ることを控えるようになりました。
少子化です。
「だって貧乏だったら可愛そうだし・・・」
「いい学校に行かせてやれないし・・・」
「自分の劣等な遺伝子を残したくないし・・・」
などの理由で、まだ生まれてもいない人間に「迷惑」がかからないよう、我々は配慮しているのです。
その感覚はもう「クレイジー」としかいい様がありません・・・。
欧米の善悪の基準
では欧米の『善』と『悪』の基準というと・・・、コレが日本人にとっては、スゴク幼稚に聞こえるのですが・・・、
それは「神様がそう言うから」なのです。
この基準があるからこそ、欧米人は『悪』(少なくとも自分たちはそう思っている)を、徹底的に、無慈悲に、攻撃するコトができるのです。
日本の神様は、あまり『善』『悪』に固執するコトは無いのですが、ユダヤ教やキリスト教の神様は、その存在が『善』です。
彼らにとって『悪』は理屈ではありません。
コレはダメ!と言われたから『悪』であって、ソレを選んだ時点で、その人も『悪』なのです。
その基準は悪くは無い
ただ、コレだって、一概に悪い基準ではありませんヨ。
例えば、欧米人は「正しいコト」をするのが好きです。特にアメリカ人は『正義』を愛します。
他の人がソレをどう思おうが、関係ありません。
誰も見ていない道路でも、赤信号で渡ることは無いのです。他の人の考えは関係ないのですから。
我々日本人には『迷惑』でないコトは『悪い』コトではないのですから、カンニングしたって罪悪感を感じません(?)。
しかし、欧米人にとって『ズル』をするのは『悪』ですから、そういう行為を憎みます。
また、『迷惑理論』では答えるのが難しいモラルを、欧米の人なら簡単に教えるコトだって出来るのです。
例えば、「子供にエッチなコトを教えていけない」というモラルの理由を『迷惑理論』で答えようとすると、なかなかの遠回りです。
中には理解できない人だっているコトでしょう。
でも、「神様がソレを悪いと言ったから、ダメだ!」というと、単純明解なのです。
結局どっちがいいの?
『善悪』というのは、そんなに簡単に分かれてはいませんし、良いコトをすれば良い結果が帰ってくる・・・とも限らないわけです。
不条理なコトだって、世の中いっぱいあるのです。
ソレを知っている人は「神様なんて・・」と思っているコトでしょう。
欧米の善悪の基準と、日本の善悪の基準は、どちらも一長一短で、どちらかが良いというコトでもありません。
ただ「幸せになれるほう」を選べばいいのではないかなあ・・・なんて僕は思いますネ・・・。
コメント
すごい…これは目からウロコでした!すごいお話を聞けて感動しています。ありがとうございます!
欧米の人が日本人と比べてあんなにも自信たっぷりに見えるのは、「神様」という絶対的・善の存在があるからなのかもしれませんね…。
自分が幸せになれるのは間違いなく欧米の考え方だと思います。僕も彼らにとっての神様のように、「絶対的・善」と呼べるものに必ず出会いたいと思います。
コメントありがとうございます!
お役に立ててうれしく思います。必ずしも宗教が必要ではないかもしれませんが、良い出会いがあるといいですね!