アメリカドラマにはシーズンの狭間といいますか、番組が止まってしまう季節があったりします。
そういう時期には、妻との夜のドラマ鑑賞会にはみるものがなくなってしまったりするのです。
長~いシリーズ物は、眠たくなったりもしますし、短い簡単に笑えるコメディーものが僕はいいかなあと思い、ちょっと探してみるコトにしたのです。
すると、前まで気に入って、よく見ていた 『ママと恋に落ちるまで』というドラマのスタッフが、新しい番組をはじめたというのを小耳に挟みましたので、それを検索してみるコトに・・・。
それが「Truth Be Told」というタイトルの番組でして、ウィキペディアでは「あまり人気がない」ような事を書いてあるのですが、見てみるとまあまあ面白かったりするのです。
白人男性と(恐らく)フィリピン人女性の夫婦、それから、その友達の黒人夫婦のお話で、予想通り「人種ジョーク」が多くちりばめてあったりします。
最初のエピソードでは、この仲のよい旦那たちがジェイ・Zのライブへ向かうのですが、行く途中に車でガンガンにジェイ・Zの歌をかけるのです。
ただ、よく知っている人もいると思いますが、ジェイ・Zの歌は、白人が使ってはいけない「nigger(クロンボ野郎)」という単語が毎度毎度でてきます。
ふたりとも気持ちよく曲に合わせてうたっていたのですが、その言葉が出てくると、黒人男性は「ストップ、ストップ。あの、そこは君は・・・ハミングで。」という場面がありました。
黒人コメディアンの人種ジョーク
僕はそのシーンを見て「あれ? このネタ、なんか覚えがあるなあ・・・」と記憶をたどっていったのですが、思い出したのがクリス・ロックさんのスタンドアップコメディーの一節。
探してみるとJayZではなくDr.Dreの歌だったようですね・・・。
悪い言葉注意!
先ほどのドラマの1シーンとほぼ同じような状況をジョークで言っていたのです。
「nigger」という単語は黒人同士なら言っても良いのですが、白人は絶対にゼッタイに言ってはいけないという、闇の掟に従って使われる、不思議な単語なのです。
(不思議でもないけど・・・。)
クリス・ロックさんが言うには、『白人がその言葉を使って良いのは、クリスマスイブの朝四時に、ツリーの下に子供達のプレゼントを置いてベッドに帰る時、黒人の泥棒が家に入ってきて、レンガで殴られて、踏みつけられて、小便をかけられて、瀕死の状態になった時に、「誰かあのniggerを捕まえてくれ!」と言う場合だけに限って許される』そうで、使って良いのは、その時だけだそうです。
他は絶対ダメ。
クリス・ロックさんに限らず黒人のコメディアンは「人種ジョーク」のネタを多く持っていますが、特に彼の持ちネタで、実は一番面白いのは「結婚生活ネタ」だったりします。
彼に言わせると独身男性よりも既婚男性のほうがモテるのだと。
男性は素敵な既婚女性、または彼氏のいる女性をみると、「あんな彼女がほしいなあ」と言いますが、女性の場合は素敵な既婚男性、彼女のいる男性に出会うと、「彼が欲しい」と言うのだと。だから女性は他の女性を絶対に信用しないのだそうな。
コチラも悪い言葉注意です!
アメリカンジョークというのは、あながちウソでもない、皆が「ああ、そうだろうなあ」と共感できる、日本で言う「あるあるネタ」を大げさにしたようなネタがウケるようですね・・・。
笑えない「あるあるネタ」
この「Truth Be Told」というコメディ番組もすぐに終わってしまい、「ちょっと新しいジャンル番組にも手を出そうかなあ」と、試しに見てみたのが、新しく始まった「アンリアル」という番組です。
この話がちょっとややこしいのですが・・・、
ある一人の大金持ちの若い男性が20人くらいの綺麗な女性たちの中から一人、自分のお嫁さん候補を選ぶという実際のアメリカのリアリティー番組がありまして、(これがアメリカでは結構な人気番組なのです!)その番組制作の裏側を暴くといった内容のドラマなんです。
ドラマの中で女性たちが一人づつ、お金持ちの男性に挨拶していくのですが、一人目の(ちょっと肌の色の濃い)女の子が挨拶を終えると、番組の監督であるプロデューサー(女性)が大声で叫ぶのです。
「一人目が黒人ってどういうことなの!?一番最初は白人に決まってるでしょう?」
すると黒人の撮影スタッフたちが振り向いて彼女を睨み付けるのですが、彼女は続けてこう言うのです。
「アメリカ人(視聴者)がレイシストなのは私のせいじゃないわ!私に怒らないでくれる?」
これもアメリカ人にとっては一つの「あるあるネタ」でしょうが・・・、少しも笑えませんね。
それぞれが持つ人種偏見
僕は高校2年生でアメリカへ渡り、最初の1年は田舎で牧場で働きながら学校へ行っていました。
アメリカの田舎でアジア人の高校生というのはナカナカ風当たりが強かったのを覚えています。
その後、南カリフォルニアへ転校して卒業したのですが、さすがにそちらでは差別を受けたという感じは無かったですね。
ただ、前にもお話したように、アメリカでは人種別に分かれてグループを作るということが多く、彼らは意識はしていなくても人種差別(区別)っぽい考えを持っていたりします。
また、あってはいけない事ではありますが、個人それぞれに人種別、又は国籍別のヒエラルキー的な考えがあったりするのです。
エラソーに言っている僕でさえ、正直なところアフリカ諸国は地位が低いと勝手に決め付けて考えている時だってあるわけで・・・。
ただ今回、アメリカ人がちょっと偉いなと感じたことは、ドラマのキャラクターにそれを言わせて、カミングアウトしたところですね。
やはりうすうす気が付いていたのでしょうね・・・、自分たちがレイシストであったという事を。
まず問題点に気づくという事が、良い一歩だと思います。
そこから少しづつ、克服していければいいですね。
でもまあ、このドラマは・・・ちょっとしんどいかな・・・。
コメント