いつの頃からかは、わかりませんが、日本人の大多数は「宗教アレルギー」と言えるほど、宗教嫌いな人が増えましたね。
ちがいます?
でも、気持ちはわかりますよ。
第一、普通に生活するうえで、神様なんて必要のないですから。
この日本で生きていくのは、他の多くの国に比べて、そこまで大変ではありません。
だいたいの人は普通にご飯は食べれますし、蛇口をひねれば水は出ます。
勿論、この日本でも、毎日生死を賭けて生きている人もいるでしょう。
他の国でもラクチンに生きている人もいるでしょう。
でも、やっぱり多くの日本人は毎日「ああ、神様、仏様!」と、天を仰いでまで必死にならなくても、自分の力や財力で何とかやっていけるのです。
でも、信心深い人たちも中にはいたりします・・・。
お店の社長
妻は去年から、あるお店でアルバイトを始めました。
結構高価な商品を扱うお店なのですが、そこの社長さんは毎日、朝の5時に起きて近くの神社のお掃除をするそうです。
お店の入り口には『盛り塩』がしてあって、縁起のよさそうな置物があったり、「仏滅」「大安」などの日にちなんかも気にしたりするそうです。
妻はそんな社長さんを見て、不思議に思って、僕にこう尋ねました。
「彼はホントに神様を信じているのでしょうか? 彼はもっとお金がほしいから神様に頼っているのですか?」
僕は「どちらにせよ、信じていないと、そんなコトしないよ。」と言ったのですが、彼女は、
「神様にお金をお願いするなんて、日本的ですね。」と言うのです。
日本的
そういえば神社へ行けば、いろんな人の絵馬が飾ってあって「合格祈願」とか「商売繁盛」とか、なんとなく都合のいいコトばかりお願いしているような気もします。
「お金が儲かりますように」と言って、お賽銭を投げるのは、何となく矛盾しているような気もしますが、そういうものです。
仏教だって、お寺ごとに「ご利益」が違ったりとかして、なんか「お願いをしに行くところ」」という感じもしないでもないですね。
それが日本的というなら、そんな気もします。
御利益宗教
でも、そんな「御利益宗教」は別に日本に限ったモノではありません。
ヨーロッパなんかは、ほぼ100パーセント『キリスト教』ではありますが、いろんな宗派があります。
中には、マリヤ像にお祈りをして病気を治してもらうなんて宗派もあるのです。
だいたいキリスト自身も人々の病気を治したわけですから、キリスト教だって「御利益宗教」と言えばそうかもしれません。
カトリック
妻が言うには、スペイン人やイタリア人にとってのカトリックは、日本人にとっての仏教のようなモノだといいます。
実際にみんなが信じているわけではありませんが、「あなたの宗教は?」と聞かれると、自動的に「カトリックです」と答えるそうです。
日本人が「仏教徒です。」と答えるのと同じですね。
お葬式や結婚式などの儀式や国民の祝日、生活習慣なんかもその上に成り立っているのです。
すべてが「カトリック様式」なのです。
宗派
日本の人は『カトリック』と聞くと、一つの大きな宗教なのだと思う人が多いようですが、実は『カトリック』の中にもいろいろとあります。
豪華ケンランな教会に嫌気をさして、修行に励んだ、信仰心の高い信者もいました。
そういう人たちは修道院に入って修行するわけです。
原始的な「御利益宗教」から、一つ進んだ「精神宗教」とでも言いましょうか。
願いをかなえてもらって幸せになるのではなく、自分の精神を安定させて幸せをかなえるという方法(?)なのでしょう。
日本でもあった?
でも、日本の歴史でも同じようなことはありましたよね。
宗教の発展が精神的なものに行くのは必然的なモノなのかもしれません。
日本でも同じように、修行僧が山にこもって禅を組んだりしていたわけです。
日本にだってそういった「精神宗教」があるのです。
禅(ZEN)
さて、この『禅』というものが、今アメリカで大人気だそうで、アップルの創始者スティーブ・ジョブスもファンだったとか。
今ではアメリカ人の禅僧もいるそうです。
(因みに、禅を広めた達磨大師の語源にもなった、サンスクリット語の「dharma」は、アメリカでも一般的な名前としてよく使われていて、コメディードラマの『ダーマ&グレッグ』のダーマもその一人です。ダルマがアメリカでは女性の名前というのは、チョットへんな感じですね。)
禅を「宗教である」とも言いにくいかもしれませんが、仏教の派生ではあるでしょう。
日本には「御利益宗教」だけではないのです。
信じるモノは救われる
しかし、いくら「御利益」のためと言っても、毎朝5時に起きて神社に行く社長さんはエライですよ。
簡単にまねはできません。
人それぞれに願うモノはちがうのです。
健康を願う人もいれば、富を願う人もいるわけですよ。
信心深い人を笑う人もいるでしょうが、この社長さんは、実際に結果も出しているわけです。
人の信じているコトをとやかく言う必要なないのですよ。
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